STP分析とは?経営戦略策定の必須ツールを具体例をまじえて解説
「STP」という言葉はマーケティングを学んだ事がある方なら耳にした事があると思います。
STP分析という手法はマーケティングの世界では最もポピュラーで良く利用される分析手法のひとつであり、経営戦略を考えるうえで必須のフレームワークです。
ここではSTP分析を詳しく解説していきます。
STP分析とその活用方法
ではいよいよその市場でどうやって戦っていくか具体的な戦略を考えようか!
なんだかワクワクします!
まずは王道のSTP分析をしていこうか!!
STP分析とは?
STP分析とは、下記の3ステップにより「市場を細分化」しその中で「ターゲットを絞りこみ」「自社の市場でのポジションを明確にする」ことで、狙いとするターゲットに対してどのような価値を提供していくかを決めていくフレームワークで、効果的な市場開拓をするためには欠かせない分析手法です。
実施する3ステップは下記のとおりです。
Segmentation(セグメンテーション)
市場を細分化する
Targeting(ターゲティング)
ターゲット層を抽出する
Positioning(ポジショニング)
自社の市場でのポジションを明確にする
それではこれら3つのステップをについてさらに詳しく見ていきます。
Segmentation
(セグメンテーション)
セグメンテーションとは細分化のことです。
顧客となる市場を細分化してグルーピングすることで、どのグループにどんな種類や規模のニーズがあり、自社の価値はどこのグループに対して響くのかを考えやすくなります。
細分化の要素は下記を参考にしてください。
人口動態要素
年齢
性別
家族構成
国籍
宗教
人種
地理的要素
地域
文化
気候
行動範囲
住所
人口密度
社会的要素
職業
ライフスタイル
学歴
所得
心理的要素
価値観
パーソナリティ
態度
性格
購買心理
例えば30〜40代女性をターゲットとした場合、それだけだとかなり漠然としていますが、そこに「地域、職業、家族構成、ライフスタイル、価値観、購買心理」の要素を加えてターゲットを細分化すると、「都内のビジネス街勤務の有職独身女性で、仕事が忙しく自炊する時間がない中でも、お洒落で健康的な食事をとりたいという想いを持っている」30〜40代女性というグループができあがります。
最初の30〜40代女性より細分化したグループの方が、そこへのニーズや響く提供価値を考えやすいのがお分かり頂けますでしょうか。
ターゲットの細分化は経営戦略を考えるうえで非常に重要な作業なのです。
Targeting
(ターゲティング)
ターゲティングとは狙いの選定です。
細分化した市場グループ(セグメント)の中で、自社が競争優位を得られる参入すべきセグメントを選定します。
セグメントを選定するときはセグメントと自社のコンセプトの相性や整合性、またセグメント自体の経済的価値(市場規模や成長性)を見極める事が大切です。
また複数のセグメントをターゲットとするか単一のセグメントをターゲットとするかも戦略的に考える必要があります。
ターゲット範囲の設定は主に下記のような戦略に基づき決定します。
無差別型(フルカバレッジ)
セグメント間の違いに関係なく共通の商品・サービスを提供します。
フルカバレッジは経営資金が豊富な大企業向けの戦略です。
差別型
複数のセグメントをターゲットとし、それぞれのセグメントに対して異なる商品・サービスを提供します。
リスク分散と資金投資のバランスが良い戦略として多くの企業はまずこの戦略を選びます。
集中型
1つのセグメントに集中して商品・サービスを提供・投下していきます。
そのセグメントに集中して経営投資をすることで、そのセグメントの中で強力なブランドを確立しやすくなります。
ブランドが確立されればその看板は別セグメント開拓時に大きな武器になる事があります。
一方で当然そのセグメントでの顧客獲得に失敗したときの経営リスクが大きくなります。
Positioning
(ポジショニング)
ポジショニングとは市場における自社の立ち位置を決めることです。
ターゲットとするセグメントには当然競合が存在しています。
ターゲットから自社の商品やサービスを選んでもらうには、競合の商品やサービスとの違いや優位性を出さないといけません。
その為に競合と自社の提供価値による市場での立ち位置の違いを明確にする作業がポジショニングというフレームワークです。
手順としては下記の順番で行います。
@競合との提供価値の比較を行う軸を決める
競合との提供価値を比較する為のものさしを決めます。例えば「価格」「品質」「スピード」「希少性」「安全性」等が考えられます。
A提供価値よる競合のポジションを明確化
@で決めたものさしに基づき、競合のポジションを明確にします。その際に縦軸と横軸を提供価値の要素としてポジショニングマップを作成すると可視化しやすくなります。
B自社のポジショニングの決定
競合がまだいないポジション(その市場に提供者がいない新しい価値)を見つけ出し、自社の強みを考えながらまだ競合がいないそのポジションに自社をポジショニングしていきます。
これら一連の作業により、ターゲットからみた競合との差別化ポイント(競合との違いや優位性))を明確に打ち出すことができます。
STP分析の目的
STP分析は効果的かつ効率的な経営戦略を実施する為に必須の分析手法です。主に下記戦略を考える上で大きな役割を持ちます。
広告戦略の考察
すでに述べたようにSTP分析によりターゲット顧客がより明確化します。
するとターゲットに対してどのような広告戦略が効果的か考察することができます。
なぜならターゲットの年齢や性別、ライフスタイルによって普段彼らが目にする広告媒体はまったく異なってくるからです。
またターゲットによって響く内容や構成も異なります。同じ広告媒体であるテレビCMひとつをとってもその内容や構成は多種多様です。
広告や認知活動で大切なことは顧客の共感を得る事です。ターゲットを明確化することで、そのターゲットが共感する内容や方法を具体的に突き詰める事が可能になるのです。
差別化戦略の考察
STP分析により競合のポジショニングを明確にすることで、自社がその中でターゲットから選ばれる為の差別化戦略を考える事ができます。
差別化とは言い換えると「競合の商品やサービスでは提供できない価値を提供する事」です。
その為には、すでに競合がどんな価値を持った商品やサービスを提供しているかを明らかにし、そこにはない価値を自社のどんな強みを活かした商品やサービスによって提供するかを考える必要があります。
まさにそのプロセスをSTP分析では順をおって実行することが出来るのです。
実際にSTP分析をしてみよう!具体例
なかなか難しそうな分析方法ですね。。。
まずはセグメントから!
ターゲットは20〜40代の女性ですがもっと細分化すると、、、
その中で競合への不満度でさらに細分化しました!
年齢と性別以外に、職業、ライフスタイル、価値観、購買心理の要素で細分化したんだね!
その中でターゲットとしては、、
ターゲットがかなり具体的だしそれなりの市場規模もありそうだね!
競合とのポジショニングも考えてみようか!
わかりやすいコンセプトでターゲットの共感も得やすそうだよ!
まとめ
後は戦略に基づいた適切な行動をとる事が大切だね!
戦略を実行する為の具体的なアクションを色々と考えていきたいです!
ではいよいよお店の具体的な施策を考えていこうか!
いかがでしたでしょうか?
STP分析は具体的な経営戦略を考える為の分析手法であり、この分析を通して自社の具体的なターゲットを絞り込み、競合とのポジション(提供価値)の違いを明確にすることができれば、このあと解説する4P分析などの具体的な施策の決定に繋げることができます。
ぜひ皆さんもこのSTP分析でお店の経営戦略を考えてみて下さい。
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他業種でも参考になる内容になっておりますのでぜひ参考にしてみてください。
⇒飲食店向け事業計画書の書き方
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