5F分析とは?具体例で学ぶミクロ環境分析
飲食店経営では業界動向は非常に重要です。
業界内においてビジネスに直接影響をおよぼす環境要因の事をミクロ環境といいます。
経営戦略を立案する場面ではこのミクロ環境の分析は必要不可欠であり、よくビジネスシーンで利用される分析手段に5F分析があります。
ここではミクロ環境と5F分析について具体例も交え詳しく解説していきます。
ミクロ環境とは
マクロがあればミクロもあるんですよね?
(PEST分析について)
しかもこのミクロ環境は飲食店経営においてとても重要なんだよ!
ミクロ環境の特徴と具体例
ミクロ環境とは業界を取り巻く環境の中で直接ビジネスに影響を与える環境要因であり、業界内環境ということが出来ます。
先程のページで解説したマクロ環境はこれとは反対に業界外環境と言うことができコントロールが不可能ですが、このミクロ環境は企業や組織の働きかけでコントロール可能とされています。(マクロ環境について詳しくこちら)
具体例としては市場規模や成長、顧客動向、競合動向、流通などのステークホルダー(利害関係者)の動向、関連する技術の進歩などがあげられます。
飲食店におけるミクロ環境の重要性
業界内環境であるミクロ環境は飲食店経営に大きな影響を与える事は言うまでもありません。
まず飲食店の参入や撤退を考える上で重要な判断材料になってきます。
巨大すぎる競合や交渉力の強い仕入れや顧客がいて、新規参入のハードルも低いとなれば、生き残ることが非常に難しくたとえ生き残れたとしても、過度な価格競争にさらされ収益を上げることは困難かもしれません。
参入してからどうしようもない状況を知ることだけは絶対に避けたいところです。
また参入すると決めた場合も、その業界の中でいかに優位性のある戦略を立案できるかは、業界内のことを熟知しているかどうかが大きく左右します。
さらに常に脅威となる新規参入者や代替品を意識した戦略をとることで、これらのリスクにも対応する事が可能になります。
ミクロ環境を分析する事は経営戦略の策定する上で必要不可欠だと認識しましょう。
5F分析によるミクロ環境分析
見切り発車の開業にならないようにする事が大切だね
ミクロだから顕微鏡とか使うんですかね?。。。
5F分析という手法があるから解説していくね!
5F分析とは
5F分析とは、名前の由来でもある5つの競争要因(five forces)「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「業界内の競争」「新規参入者の脅威」「代替品の脅威」から業界全体の構造を分析するミクロ環境(業界構造)の分析手法です。
アメリカの経済学者であるマイケル・ポーター氏により提唱され、今日までビジネスシーンにおける不可欠な分析手法として企業戦略の策定などで活用されてきました。
これら5つの要因から業界構造はもちろん、業界の参入余地や成長性、収益性などその業界の魅力度を測る事もできるフレームワークです。
この分析を用いることで企業やお店が業界内でとるべき適切な経営戦略を策定することが出来るのです。それではその5つの競争要因について詳しく見ていきます。
5つの競争要因について
買い手の交渉力
買い手とは商品やサービスの販売先の事です。
飲食店であればお客さん(消費者)になります。
買い手の交渉力と言うとわかりにくいですが、買い手との力関係と考えるとわかりやすかもしれません。
買い手の交渉力が高い状態とは、例えばそのお店以外にも同じものを食べれるお店(代替品)が沢山あり、また他店にいく物理的、心理的ハードル(スイッチングコスト)が低い場合などがあげられます。
このように買い手の交渉力が高ければ、店側は価格競争をよぎなくされ利益が出ない可能性があります。
反対に買い手の交渉力が低い状況とは「そのお店でしか食べれない」あるいは「他店で食べようとするともの凄く遠い街にしかない」といった購入ハードルが高い状態です。
この場合、店側は多少高い値段設定にしても顧客はそのサービスをそのお店から購入するしかなく、お店側はしっかり利益を確保することができます。
他にも買い手の交渉力の要因には、買い手の数や規模、情報収集難易度、影響力、資産、収入水準などが考えられます。
売り手の交渉力
売り手とは業界にものを供給しているサプライヤーのことです。
飲食店であれば専門商社やスーパー、農家などがあげられます。
売り手の交渉力は買い手の交渉力で説明した要因が同じように関係してきます。
売り手の交渉力が高ければ原料原価が高くなり利益を圧迫されます。反対に売り手の交渉力が低ければ安く原料を仕入れる事が出来る為しっかり利益が確保できます。
売り手の交渉力に関する要因も、売り手の数や規模、スイッチングコスト、依存度、情報収集難易度、影響力、資産、収入水準などが考えられます。
業界内の競争
業界内の競争とは競合同士の争いの事です。
業界規模が小さくてもライバルとなる競合が少なければその中で利益を独占できます。
一方で業界規模が巨大でもライバルが無数に存在すれば顧客のの取り合いや価格競争にまきこまれ利益がでない可能性があります。
飲食店は飲食業界という大枠でみると非常に業界内の競争が激しい業界の為いかにその中で優位性や差別化を出せるかが重要となります。
業界内の競争に関する要因としては、競合の数、敵対関係度合、類似度、スイッチングコスト、業界の規模や成長性などが考えられます。
新規参入者の脅威
業界は常に新規参入者の脅威にさらされます。
しかしその脅威はどの業界でも同じ確率で存在しているわけではありません。
例えば、弁護士事務所は弁護士資格がなければ開業できず参入ハードルが高いと言えます。一方で飲食店は基本的にはだ誰でも開業する事が可能で参入ハードルは極めて低いと言えます。
新規参入のハードルが低い業界は、その中でも新規参入者が容易にマネできない強みを持っておく必要があるのです。
新規参入者の脅威に関する要因としては、法規制の有無、新規参入者の経営資源、業界規模、既存企業の規模や提供サービスの再現性難易度、差別化の有無などが考えられます。
代替品の脅威
代替品とは商品やサービス自体は別のものでも提供している「価値」が同等な商品やサービスのことです。
例えばマクドナルドと吉野家はハンバーガーチェーンと牛丼チェーンという分け方をすると違う業界になりますが、どちらも「早く安く一定品質の食事」という提供価値は同じです。さらにその価値で考えた場合はコンビニ弁当等も代替品として想定される事になります。
代替品の脅威に関する要因は、代替品の数や質、利益率、成長率、スイッチングコストなどが考えらえます。
実際に5F分析をしてみよう!具体例
ような5つの競争要因を考えたら良いんですね!
アヤちゃんのお店で一度考えてみようか!
こんな感じですかね??
買い手の交渉力
・一般消費者
スイッチングコストは低く、気軽に代替品を利用可能。
競合や代替品の情報(価格、品質など)も簡単に入手可能が可能であり、買い手の交渉力を下げるにはいかに自社商品を差別化された商品に出来るかがポイント。
売り手の交渉力
・食品卸会社
・業務用スーパー
希少性のある原材料やブランド品は使用せず、一般流通品を使用する為、原材料費は一定の価格で維持可能。
相場品で最も上下するのは野菜だが、全食材の中で割合はそこまで高くないため利益への影響度は少ない。
業界内の競争
・カフェチェーン各社
・牛丼チェーン各社
・定食チェーン各社
新規参入者の脅威
参入にあたって免許や資格は不要であり、また難解な調理技術も不要であることから参入ハードルは非常に低いと考えられる。
代替品の脅威
・テイクアウト食品(パン類、弁当)
・中食、惣菜(スーパー、コンビニ)
スイッチングコストが低いが類似性はそこまで高くない。
まとめるとこんな感じだ!
女性向け定食屋の例
まとめ
インプットがあって初めてアウトプットがあるのと同じだね!
じゃあ次は別の市場分析についても見てみようか!
飲食業界という戦場を勝ち抜く為には市場と顧客を知るということは欠かせません。
すでにに開業されており、他のお店との差別化や集客でお悩みの方、利益率が低く苦労している方もぜひこの5F分析を活用してみて下さい。
打開策がきっと見えてくるはずです!
当サイトでは飲食店向けの事業計画書について詳しく解説しています。
他業種でも参考になる内容になっておりますのでぜひ参考にしてみてください。
⇒飲食店向け事業計画書の書き方
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